僕たち人間が喜怒哀楽を表すように、動物たちの行動や表情などにもそれを見ることが出来る。
喜んだり怒ったり悲しんだりする訳だが、例え彼らが優しい目でこちらを見ているからと云って
必ずしも嬉しい気持ちであるとは限らない。本当は怒りで心は煮えくり返っているかも知れない
のだ。これは人間も同じであるが、僕たちは一応感情をコントロールする能力があるので、いく
らか違うと思う。彼らの感情表現は勿論個体によっても大いに違うし、比較的ストレートである
だけに大変複雑で表面上では人間以上に分からない。簡単には僕たちの概念に結びつかないので
ある。
動物たちと長く付き合っているので、いつの間にか人間とか動物とかの分類する考えが無くなり
仲間意識が強くなっているのにもかかわらず、僕自身は動物園で彼らを撮るとき彼らの表情を、
自分たち人間に当てはめようとしていることに気付く。彼らを擬人化して見る事は僕の写真表現
の手段でもあるので当然のことではあるのだが。
 先日キリンを撮影していると、隣で見ていた五歳くらいの男の子が「あのキリンさん、笑って
いるよ。」と指差して僕に教えるように云った。突然でびっくりしたが、良く見ると木の枝葉を
もぐもぐと食べている口の辺りが確かに笑っているように見える。動物たちは僕たちのように声をだして笑いころげ回ることはないけれど、結構ニヤニヤしていたり目を細くして微笑んでいた
りするのだ。
「ほんとだぁ、笑っているねぇ」
そう答えた僕の方を見て、得意そうな目をして笑った男の子がとても可愛らしかった。