僕は動物園の入口でいつも一つ深呼吸する。今日は動物たちとどんな出逢いがあるかなと思うと胸がわくわくして来るからだ。この気持ちは子供の頃、初めて動物園に行ったときと変わらないと思う。何ごとにも胸躍らすことは、とても大切なことだ。好奇心や期待感にも似ているが、これはまた別のものである。僕にとって動物園はいつも自分のわくわく感を心地よく受け入れてくれる所なのである。だが、動物園にやってくる子供たちは、僕なんか比べものにならないほど大きくて新鮮なわくわく感を心の中に抱いているに違いない。それは動物を見つめる子供たちの目は皆きらきらと輝いているからだ。きっとお父さん、お母さんと動物園に行く約束をした日から、段々ふくれあがって来た胸いっぱいのわくわくを、この瞬間一気に解き放っているのだ。そしてその軽くなった胸に、今度は「なぜ」「どうして」「あれはなに」と質問を連発しながら新しい吸収をはじめるのである。「だれが、シマウマの縞を描いたの」「どうして、象の鼻は地面にとどくの」子供たちの質問は思いもよらない発想でユニークだ。そんなときの回答に苦慮している親たちの顔がほほえましい。僕も何故か自分が問われているわけではないのに撮影を止めて一緒になって考えてしまう。
先日マレーグマの落とした糞がなぜ赤い色をしているのかと質問して、たった一言「わかーんない」と答えた母親にとても不満で、その場に座り込み「ウンチ、ウンチ」と叫び続けている男の子に出逢った。思わず「ボク、頑張れ!」と大きな声で応援したくなってしまった。僕はいつも子供たちのように、純粋で新鮮な発想をうながすわくわく感を心の中に持ち続けることができたらいいなと思うのである。
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